演奏会当日の朝は、あいにくの曇り空。
コテージ2階・ベッドルームの窓を開け、大きなバルコニー越しの景色をのぞめば、緑香る空気の中、カッコーとうぐいすの鳴き声が響く。
この場処で、シューマンの『森の情景』が弾ける幸せ。
第4曲の終わりに不気味に登場するカッコー、第6曲の「旅籠屋(Herberge)」、そして第7曲にこだまする鳥の声…。
現実と音楽が交錯する。
※ ※ ※
サロンには、主に地元の方々が集まって下さいました。
中には、前日の新聞記事を見て駆け付けて下さった方、はるばる旭川から3時間かけて車を飛ばして下さった方も。
作品の背景や作曲家について、お話しながらのコンサート。
見知らぬ土地・見知らぬ人々の前でのおしゃべりと演奏は、何もかもが初めて尽くしでしたが、あたたかく耳を傾けて下さった皆様とは、演奏会後も楽しい会話で盛り上がり、親しく交流する事が出来ました。
聞くところによれば、十勝にはピアノメーカー・KAWAI(カワイ)が所有する森があるとか。
これまでに触れてきた楽器の中には、この土地で育まれた木が使われていたかも知れません。
複雑で精緻な構造を持つ現代のピアノは、まるで工業製品であるかのように感じられる事もあるのですが、十勝・中札内の自然に囲まれての演奏では、ピアノは「木の楽器」とあらためて強く意識することとなりました。
また、「旅人」という視点に立って今回のプログラムに臨んだことも、面白い経験でした。
得難い機会を頂きました。
企画実現に奔走して下さった十勝菓子工房 菓音の甲賀静香さん、大らかに多大な協力を下さったフェーリエンドルフ西惇夫社長とスタッフの皆様、聴衆としてお越し下さった皆々様に、あらためて心より感謝申し上げます。
実は今回の旅、コンサート会場の外でも、忘れがたいたくさんの出会いがありました。
十勝での様々に貴重なご縁を大切にしつつ、より魅力的な活動が出来るよう、精進を続けたいと思います。
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